クリエイティブなリサーチの実践方法:CREATIVE KNOWING

公開日: 2017年4月24日月曜日 クリエイティブ コミュニケーション ビジネス メソッド リサーチ

セミナーに参加しました。

内容はTakramのビジネスデザイナー・佐々木さんによる、全3回にわたるクリエイティブリサーチです。デザインの領域が多岐に渡るようになって、最近はデザイナーもみんな何かしらリサーチの取組みをしているかと思いますが、デザイン分野におけるリサーチの方法で体系化された教育は、あまり聞いたことがありません。なので僕はこのセミナーを知ったとき、嬉しくて仕方ありませんでした。




CREATIVE KNOWING
イノベーション志向のクリエイティブ・リサーチ

モノが持つべき意味・体験・ビジネスモデルのデザイン
講師:Takram 佐々木康裕さん


前にTakramの本について書きましたが、デザインエンジニアとしてスタートしたクリエイティブ集団が、ビジネス要素を強化していった中で、佐々木さんのようなビジネスとクリエイションの間を行き来する人が活躍しているのが、近年の特徴かなと感じます。この傾向はデザインの対象範囲が広がったことによる、世界的なデザインファームや企業内のデザイン部門の動きだと思います。

で、このセミナーのテーマはまさに、クリエイティブとビジネスをつなげるためのリサーチについてです。一般的にリサーチというと、人や所属によってはそれだけでクリエイティブの対極のように位置づけられることがありますが、ここでは、自分しか持っていない視点を獲得して、創造的な解決をするための方法であり、情報は問いを作るための手段であってゴールではない、という考えが前提にあります。

クローズドなセミナーなので詳細の説明は記述しませんが、3日間の構成はレクチャーと個人発表+フィードバックの2種で構成されており、知識だけを蓄えるだけでなく、実践を経てスキルを学べる、とても有益な内容でした。

僕も発表の機会をいただきましたが、デザイナーの傾向によくある『何となく深く考えず提示している情報』に対して、実際に指摘を受けることで多くの学びを得ることができました。自分に当てはまるコメントを箇条書きでいくつか紹介します。

・リサーチ→提案 の流れが飛び過ぎる発表があった、つなぎを大事に
・英語は危険、単語に色々な意味があるし、難しいと聞く姿勢を閉ざしてしまう
・世の中の一般的なことを根拠に使うのはNG、前提を疑う必要がある
・定量データは雰囲気でないのでちゃんと正しく表す
・全部うまくいく話や大きい話だと逆に怪しんでしまう

 (下のは僕の発表の一部です、今見返すと、確かに、これはなぁ...。)


全体を通して、特に繰り返し言っていたのが『自分は間違えている』というマインドセットを常に持ち、前提や思い込みを疑い情報を見ていく、ということでした。リサーチには仮説を持つことが大事ですが、思い込みと仮説は一見似ているようで180度違うものです。分かりやすく整理すると次のようになります。これはすごい大切なことだと思います。

・仮説:常に疑い検証して、どんどん変えていくもの
・思い込み:十分な検証もなしに決めつけてこだわっているもの


また、仮説を考えたり情報を整理したりするうえではフレームワークを活用していきますが、ありもののテンプレートに当てはめるのではなく、自分でフレームワークを生み出していくことの大切さも強調されていました。佐々木さんのおすすめトレーニングは、テーマはなんでもいいので、フレームワーク100本ノックを日常の中で実践すること、ということです。理屈よりも実践あるのみ、僕も機会見つけてやってみようかな、と思います。





ミナーを受けてみて、デザインの活動でこういったリサーチは、今後もっと重要になってくるであろうし、その効果も体感できました。一方で、このような取組みは、少なくとも日本ではまだあまり浸透していない状況なので、率先して仕事の中で取組んでいこうと思った次第です。佐々木さん、ありがとうございました。

ちなみに、佐々木さんは本をたくさん読むそうで、このようなデザインリサーチに参考となる本もいくつか紹介いただきました。多くはまだ僕が読んだことのない本だったので、近いうちにここでまた取り上げてみたいと思います。


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